「最近、抜け毛が増えた気がする」。秋のカウンセリングで、季節の話をしていると、ぽろりと出てくる言葉です。ブラシに絡む量、排水口にたまる量。数えているわけではないけれど、なんとなくわかる。
これは気のせいではありません。秋に抜け毛が増えるのは、多くの方に共通して起きることで、理由もある程度知られています。
毛には、生えかわりの周期がある
髪の毛は、生えて、伸びて、やがて抜けるというサイクルをくり返しています。一本一本がばらばらのタイミングで動いているので、ふだんは抜ける本数が均されて見えます。
ところが、このサイクルには季節のかたよりがあると言われています。夏のあいだに受けた紫外線や汗、皮脂の影響が、少し遅れて秋に出てくる。動物が季節ごとに毛を生えかわらせるのと同じ流れが、人にもわずかに残っている、という説明もされます。
つまり、秋に増えるのは一時的なもので、多くの場合は季節が進むと落ち着いていきます。まずはそこを知っておくだけでも、必要以上に不安にならずにすみます。
十勝の秋は、乾燥と寒暖差が重なる
帯広の九月は、朝晩が一気に冷えます。日中との差が十度以上ひらく日も珍しくありません。そこへ空気の乾燥が加わります。内陸性の気候で、冬にかけて湿度がぐんと下がっていく土地です。
頭皮も皮膚です。乾燥すればつっぱり、寒暖差が続けば、体はそちらへ手を取られます。夏の疲れが残ったまま、頭皮だけ元気、ということはあまり起こりません。
- 朝晩の冷え込みで、首・肩がこわばりやすい
- 空気が乾いて、頭皮もつっぱりやすい
- 夏の紫外線と汗の影響が、遅れて出てくる時期
- 暖房を使いはじめると、さらに乾燥する
東洋医学では、「血(けつ)」と結びつけて考える
東洋医学には、髪を「血余(けつよ)」と呼ぶ考え方があります。血のあまり、という意味で、体をめぐる「血」が十分にあってはじめて、髪にまで行きわたるという見立てです。
逆に「血」が足りない状態を血虚(けっきょ)と呼びます。香の雫のカウンセリングでは、血虚に近い方のサインとして、髪のぱさつきや抜け毛のほかに、肌の乾燥、爪の弱さ、目の乾き、立ちくらみといったところを一緒に見ています。ひとつだけで判断はしません。いくつか重なっているかどうかです。
ちなみに東洋医学では、秋は五行の「金」、五臓では「肺」にあたる季節とされます。肺は皮膚とも結びつけて考えられ、乾燥の影響を受けやすい時期。頭皮も皮膚ですから、季節の見立てとしては筋が通っています。
もちろん、体質はひとつに決まるものではありませんし、これは医学的な診断ではありません。ご自分がどの傾向に近いかを、ゆるく知っておく。その程度の使い方が、ちょうどよいと思っています。
この時期に、家でできること
一、頭を洗うときの温度を下げる
熱いお湯は気持ちがいいのですが、乾燥しやすい季節にはすこし下げてみてください。ぬるいと感じるくらいで十分に落ちます。洗ったあとは、しっかり乾かす。濡れたままにしないほうが、頭皮には楽です。
二、首のうしろを冷やさない
帯広の秋は、油断すると首から冷えます。ストールを一枚、車に置いておく。それだけで、夕方の肩のこわばり方がずいぶん変わります。
三、「血」を養う食材を、ひとつ足す
香の雫でおすすめしているのは、生姜、黒ごま、黒豆、プルーン。血虚の傾向がある方に、温かい調理でとっていただくようお話ししています。特別な食事に変える必要はありません。いまの食事に、ひとつ足すだけで十分です。
そのうえで、食事を抜きがちな時期が続いていないか、眠る時間が削られていないか。「血」を養うという考え方は、結局のところ、そういう当たり前の話に戻ってきます。
それでも気になるときは
抜け毛が急に増えた、地肌が見えるほど減った、かゆみや赤みをともなう。こうした場合は、季節のせいと決めつけずに、皮膚科でご相談ください。ここでできるのは、頭皮まわりのこわばりをゆるめて、休む時間をつくることまでです。
※本ページの内容は、東洋医学の考え方にもとづく一般的な情報のご紹介です。育毛・発毛など、医療的な効果を目的としたものではありません。気になる症状が続く場合は医療機関にご相談ください。