十勝の秋は、駆け足でやってきます。八月の終わりには日の入りが目に見えて早くなり、九月に入れば朝の空気が冷たい。夏の名残と秋の気配が、数週間のうちに入れ替わります。
この時期になると、「寝つきが悪い」「夜中に目が覚める」「寝たのに疲れが残る」というお話をよく伺います。生活は変わっていないのに、眠りだけが変わる。それが季節の変わり目の、やっかいなところです。
体は、季節に少し遅れてついてくる
気温や日照は、カレンダーどおりには変わりません。とくに帯広は寒暖差が大きく、一日のなかでも夏と秋を行き来するような日が続きます。
体のリズムは、その変化に少し遅れてついてきます。まだ夏のつもりでいる体に、秋の環境が先に来る。このずれが、眠りの質にあらわれることがあります。
- 布団に入っても、考えごとが頭から離れない
- 眠りが浅く、夜中に何度も目が覚める
- 朝、起きた時点で体が重い
- 日中に強い眠気がくる/夕方に持ち直す
「気」が張りつめるタイプ、足りなくなるタイプ
東洋医学では、こうしたゆらぎを「気(き)」の状態から見ていきます。「気」は、体を動かし、めぐらせるエネルギーのようなものと考えられています。
張りつめている——気滞(きたい)
日中の緊張がほどけないまま夜を迎えると、「気」の流れが滞りやすいとされます。頭のスイッチが切り替わらず、布団のなかで考えごとが止まらない。頑張り屋さんに多い傾向です。
足りていない——気虚(ききょ)
一方、疲れが抜けず、眠っても回復しにくいときは「気」そのものが不足している状態と見ます。すぐ横になりたくなる、朝がつらい、風邪をひきやすい、といった傾向をともないやすいと言われています。
どちらか一方とはかぎりません。張りつめて消耗し、消耗してまた張りつめる。その循環にいる方も多く見受けられます。
夜の過ごし方を、三つだけ見直す
一、画面を置く時刻を決める
何分前、と厳密に決めなくてかまいません。「この時刻をすぎたら見ない」という線を一本引くだけで、頭が休みに入る合図になります。
二、湯船に、ぬるめで
熱いお湯は、かえって目が冴えることがあります。ぬるめの湯にゆっくり。帯広の秋は冷え込みが早いので、湯冷めしないうちに布団へ。
三、頭のうしろを、温める
蒸しタオルを後頭部から首すじにあてて、数分。目のまわりだけでなく、頭のうしろがゆるむと、呼吸が深くなるのを感じやすいはずです。
※東洋医学の考え方にもとづく一般的な養生のご紹介です。医療的な診断・治療にあたるものではありません。眠れない状態が続く場合は、医療機関にご相談ください。
委ねる時間を、意図的につくる
「休みましょう」と言われて休めるなら、苦労はありません。だからこそ、休むしかない環境に身を置く時間を、予定として確保してしまう。それが香の雫の考える養生です。
照明を落とした完全個室で、手のひらと指が頭・首・肩のこわばりをゆっくりほどいていきます。漢方の四種のアロマから、その日の体質に近い香りを。会話は最小限で、眠ってしまってかまいません。