「ここ、押すと痛いんです」。そう言って、ご自分でつむじのあたりを指す方がいます。肩でも首でもなく、頭のてっぺん。カウンセリングでは、わりと見る光景です。
九月も半ばが近づくと、帯広は日の暮れるのが早くなります。そのころになると、この「てっぺん」の話が増えてくる気がしています。
てっぺんだけ、感じ方が違う
側頭部や後頭部は、押されると「気持ちいい」のほうへ寄ります。ところが頭のてっぺんは、押した瞬間に「痛い」か「じん」に振れやすい。同じ頭なのに、感じ方がまるで違います。
髪をまとめている方だと、ほどいた瞬間にじんとする、と言われます。さわってみると、そこだけ硬い方もいます。
- つむじのまわりを押すと、痛いというより「じん」とくる
- 髪をほどいた瞬間、頭のてっぺんがゆるむ感じがある
- 分け目のあたりだけ、さわると硬い
- 夕方になると、てっぺんが張っている気がする
頭のてっぺんには、筋肉がない
頭皮の下は、場所によってつくりが違います。こめかみには噛むときに使う筋肉があり、後頭部にも筋肉があります。ところが頭のてっぺんには筋肉がなく、帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)という薄い膜が広がっています。
この膜は、前はおでこの筋肉に、後ろは後頭部の筋肉につながっています。膜そのものは、筋肉のように自分から縮んだり伸びたりしません。前と後ろから引かれれば、そのぶん張る。ずいぶん素直なつくりです。
だとすると、てっぺんが張っている日は、てっぺんに原因があるとはかぎりません。おでこ側か、後頭部側か、その両方かが引いている。押しても戻るのは、引いている手を放していないからです。
東洋医学は、頭の頂を「集まる場所」と見る
東洋医学では、頭のてっぺんに百会(ひゃくえ)というつぼがあるとされます。多くの流れが会するところ、という意味だと言われています。
体をめぐる「気」の流れが渋っている状態を、東洋医学では気滞(きたい)と呼びます。考えごとが続いたとき、こらえる時間が長かったとき、上のほうが張って感じられることがあるとされます。
もっとも、体質はひとつに決めきれるものではありません。診断ではなく、いまどちらへ傾いているかを、ゆるく知っておくためのものです。
引いている側を、先にゆるめる
一、眉を持ち上げて、ゆるめる
おでこの筋肉は、眉を上げるときに使います。画面を見つめる時間が長い日ほど、そこに力が入っている。眉を思いきり持ち上げて、五つ数えて、ふっと抜く。三回だけ。
二、うつむいている時間を、途中で切る
手元を見ている姿勢が続くと、後頭部側が引き続けます。スマートフォンを目の高さまで上げる。台所では、まな板の前で一度あごを引いて、天井を見る。途中で切ることのほうが効きます。
三、結び目の位置を、日に一度は変える
同じところで結んでいると、同じところが引かれ続けます。高さを少し変える。ゆるめる。家に帰ったら下ろす。ささいなことですが、朝から晩までとなると差になります。
※東洋医学の考え方にもとづく一般的な養生のご紹介です。医療的な診断・治療や、効果を保証するものではありません。頭の痛みや張りが続く場合、急に強くなった場合、しびれや吐き気をともなう場合は、医療機関にご相談ください。
てっぺんだけを押しても、戻ってしまう
ご自分でてっぺんを押すこと自体は、悪いことではありません。ただ、引いているのが前と後ろなら、真ん中を押しているあいだも引く力は残ったままです。手を離せば戻るのは、当たり前です。
香の雫では、頭のてっぺんから始めません。首すじ、肩のつけ根、後頭部、耳のまわり、眉の上、それから頭頂へと順にたどります。前と後ろの引きをゆるめてから真ん中にふれる、という順番です。
施術の前にその日の体調とお好みをうかがい、四種の漢方アロマから香りをお選びします。さらっとした質感の漢方アロマオイルを頭皮になじませながら、ゆっくり手を動かします。シャンプー台は使わず髪も洗いませんので、そのままお出かけいただけます。
日が短くなっていく時期です。夕方に一度、頭の上のほうをあずけてしまう。それくらいのことだと思っています。