「肩こりのことを調べていたら、『瘀血』って書いてあったんです。これ、なんて読むんですか」。カウンセリングで、そんなふうに聞かれることがあります。
読み方は「おけつ」です。むずかしい字ですし、体に悪いものが溜まっているような響きがあって、気になりますよね。先に言っておくと、病名ではありません。東洋医学のものの見方のひとつです。今日は、その中身をほどいてみます。
瘀血は、病名ではなく「見方」の名前
東洋医学では、体をめぐって全身を養うものを「血(けつ)」と呼びます。その血のめぐりがとどこおった状態を、瘀血と呼びます。「瘀」の字には、とどこおる、という意味があります。
大事なのは、これが検査の数値や診断名ではないことです。いまの自分の体が、どちらへ傾きやすいかを知るための、ゆるい目安。そのくらいの距離で受けとめていただければと思います。
瘀血の傾向といわれてきたサイン
東洋医学の考え方では、次のような様子が、瘀血の傾向として挙げられてきました。あてはまる数を数えるものではなく、「そういえば」と思い当たるかどうかで十分です。
- 肩や首のこりが、いつも同じ場所に居座っている
- 夕方になると、後頭部から首のうしろが重くなる
- 冷えると、こりがいっそう目立つ
- 目の下が暗く見えたり、顔色がくすんで見えたりする
施術の前に首のうしろや肩のつけ根にふれると、板のように固い方がいます。ご本人は「ふつうです」とおっしゃる。固さに慣れてしまうと、それが基準になってしまうのだと思います。
「同じ場所が張る」は、同じ姿勢の積み重ねかもしれない
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、姿勢を保つための筋肉(抗重力筋)について、同じ姿勢を長く続けると疲労や収縮が進むと説明されています。机に向かう、画面を見る、運転をする。そうした時間が長い方ほど、首や肩は休む間がありません。
東洋医学は、そこに「めぐりのとどこおり」という名前をつけて、冷えや姿勢、気持ちの張りつめ方までひとつながりに見ようとします。肩だけを見るのではなく、一日の過ごし方まで含めて眺める。その見方が、瘀血という言葉に入っています。
今日からできる、三つのこと
一、座りっぱなしの途中で、一度立つ
仕事でも家事でも、ひと区切りついたところで立ち上がります。腕を大きく後ろへ回して、肩甲骨のあたりを動かす。一分もかかりません。同じ姿勢を、途中で切るのが目的です。
二、首と足首を冷やさない
首のうしろと足首は、冷えを感じやすい場所です。薄手のスカーフや靴下を一枚足すだけでも、夕方のこり方が違う日があります。
三、夜は、白湯をゆっくり一杯
冷たい飲みものを続けて飲んだ日は、あたたかいものを一杯。急いで飲まず、湯のみを両手で包んで、肩の力を抜きながらいただきます。
※東洋医学の考え方にもとづく一般的な養生のご紹介です。医療的な診断・治療や、効果を保証するものではありません。片側の腕や脚の強い痛みやしびれ、急に起きた強い頭痛、ふくらはぎの片側だけの腫れや痛みなどがある場合は、医療機関にご相談ください。
自分の手では届きにくいところ
首のうしろや後頭部の際は、自分では見えず、手も届きにくい場所です。こりが同じ場所に居座るのは、ここがずっと働きっぱなしだからかもしれません。
香の雫では、施術の前にその日の体調とお好みをうかがって、四種の漢方アロマから香りをお選びします。さらっとした質感の漢方アロマオイルを頭皮になじませながら、後頭部、首すじ、肩のつけ根まで、ゆっくり手を動かしていきます。シャンプー台は使わず髪も洗いませんので、施術のあとはそのままお出かけいただけます。
瘀血という言葉は、自分の体を見直すきっかけのひとつ。気になったときに、また読み返していただければうれしいです。