「髪、乾かしてから寝ていますか」。カウンセリングでそう伺うと、たいていの方が少し笑います。乾かしているつもり、というのが正直なところかもしれません。
九月も半ばを過ぎると、帯広の夜はほんとうに冷えます。日中は上着がいらないのに、日が落ちてからの下がり方が急です。その夜に、半乾きのまま布団へ入る。この時期になると、決まって出てくる話です。
乾かしたつもりで、乾いていない
ドライヤーを当てているのは、たいてい表面です。手ぐしを通して、さらっとしたら止める。ところが根元、とくにえり足は最後まで湿ったまま残ります。
朝、枕のその部分だけ湿っていた。そう言われる方がいます。自分でさわって気づく方も。
- 乾かしたはずなのに、朝、えり足だけ湿っている
- 夜、首の後ろにふれると、そこだけ冷たい
- まとめたまま乾かして、ほどくと中がまだ濡れている
- 湯上がりに涼しくて、そのまま座り込んでしまう
濡れたものは、乾くときに熱を持っていく
水が蒸発するとき、まわりから熱を奪います。打ち水で足元がひんやりするのも、汗をかいたあとの風が涼しいのも、同じことです。
髪はふだん、頭を覆って温度を保つ側にあります。それが濡れると、役割が裏返る。乾ききるまでのあいだ、頭皮の表面からずっと熱が引いていきます。しかも眠っているあいだは動きませんから、自分で温め直すこともできません。
眠りに入るとき、体はもともと熱を外へ逃がしていきます。手足があたたかくなって、内側の温度がゆっくり下がる。そこへ、頭だけが別の理由で冷やされ続ける。少しちぐはぐです。
東洋医学は、頭を「陽が集まるところ」と見てきた
東洋医学には、諸陽の会(しょようのえ)という言葉があります。体をめぐる陽の気が、頭に集まってくるという見方です。頭を冷やさないようにという言い伝えは、ずいぶん昔からありました。
首の後ろ、髪の生え際のあたりには風門(ふうもん)と呼ばれる場所があるとされます。外からの冷えや風が入ってくる入り口、という考え方です。半乾きの髪が当たっているのは、ちょうどそのあたりになります。
もともとめぐらせる力が足りないと感じている方——東洋医学でいう気虚(ききょ)の傾向がある方は、この季節の冷えがこたえやすいと言われます。もっとも、体質はひとつに決まるものではありません。
今日からできる、三つのこと
一、根元から、先に乾かす
表面ではなく、指を入れて地肌に風を当てます。順番は、えり足、後頭部、耳の上、それから全体へ。最後に残ったところほど冷えるので、先に片づけてしまうという考え方です。
二、乾かす前に、タオルで一度はさむ
こすらずに、タオルで髪を包んで押さえる。それだけで落ちる水分があります。ドライヤーを持つ時間が短くなるぶん、続けやすくなります。
三、首の後ろを、出したまま寝ない
寝るときの襟元です。薄手のものを一枚、首の後ろに置いておく。厚着をする話ではなく、冷えやすい一か所だけを塞いでおく、という程度のことです。
※東洋医学の考え方にもとづく一般的な養生のご紹介です。医療的な診断・治療や、効果を保証するものではありません。頭や首の痛み、しびれ、めまいなどが続く場合、急に強くなった場合は、医療機関にご相談ください。
自分では、乾いたかどうかが分かりにくい場所
後頭部から首の生え際にかけては、鏡にも映らず、自分の手も届きにくいところです。乾いたかどうかだけでなく、そこが硬くなっていることにも、たいてい気づきません。ふれてみて驚かれる方がいます。
香の雫のドライヘッドスパは、シャンプー台を使わず、髪も洗いません。さらっとした質感の漢方アロマオイルを頭皮になじませながら、首すじ、えり足、後頭部、耳のまわりへと、ゆっくり手を動かしていきます。濡れた髪を抱えて外に出ることがないので、施術のあとはそのままお出かけいただけます。
施術の前にその日の体調とお好みをうかがい、四種の漢方アロマから香りをお選びします。会話は最小限の、完全個室です。
これから、夜のほうが長くなります。乾かす時間を惜しまないこと。それと、ときどき人にあずけてしまうこと。どちらも、たいしたことではありません。