「触ると、なんだかつっぱる感じがして」。八月の終わりごろ、カウンセリングでときどき出てくる言葉です。痛いわけでも、かゆいわけでもない。ただ、指の腹で頭皮を動かそうとすると、ひっかかるような感じがある。
帯広の夏は短いぶん、日ざしがまっすぐ届きます。庭の草取り、送り迎え、洗濯物、駐車場から玄関までの数十歩。ひとつひとつは短い時間です。それでも毎日となると、積み重なります。そのあいだ頭のてっぺんは、ずっと空を向いていました。
顔には塗るのに、頭皮には塗らない
日焼け止めを顔と腕に塗る方は多いと思います。首のうしろまで気をつけている方もいらっしゃる。では、分け目は。つむじは。ここまで塗っている方は、ほとんどいません。
頭皮も皮膚です。髪があるぶん守られてはいますが、分け目とつむじは、その髪が左右に分かれて地肌の出ている場所。ちょうどそこへ、真上からの日ざしが落ちます。
やっかいなのは、気づきにくいことです。鏡では見えない。赤くなっても髪に隠れる。数日たってから、洗うときにしみる、指を入れるとつっぱる、という形で遅れてやってきます。
- 分け目やつむじを、自分では見ていない
- 帽子は、かぶる日とかぶらない日がある
- 洗うときに、以前よりしみる感じがある
- 指の腹で頭皮を動かすと、ひっかかる
東洋医学は、乾きを「津(しん)」で見る
東洋医学では、体をうるおしている水分のことを津液(しんえき)と呼びます。汗も、涙も、口のなかのうるおいも、この津液のはたらきです。
夏のあいだ、私たちはずいぶん汗をかきました。日ざしを浴び、暑さのなかで動き、そのぶんうるおいを外へ出しています。津液が足りなくなりやすい傾向のことを、東洋医学では津虚(しんきょ)と呼びます。口やのどの渇き、肌や唇のかさつき、寝汗、寝つきの浅さ。香の雫のカウンセリングでは、このあたりを一緒に見ています。
ひとつ当てはまったから津虚、という話ではありません。いくつ重なっているか、という見方をします。医学的な診断ではなく、いまの自分がどちらへ傾いているかを、ゆるく知っておくためのものです。
夏の終わりに、できること
一、分け目を、少しずらす
いつも同じところで分けていると、同じ場所ばかりが日を浴びます。二、三センチずらすだけで十分です。しばらくすると髪の流れが戻るので、思い出したときにまた少しずらす。それくらいの雑さでちょうどいい。
二、帽子は、通気で選ぶ
日ざしを避ける意味では、帽子は役に立ちます。ただ、頭にぴったり沿う帽子を長時間かぶっていると、汗と熱がこもって、脱いだあとに頭皮がべたつきます。編み目のあるもの、つばの広いもの。車から建物までの短い距離なら、日傘のほうが蒸れません。
三、洗って乾かしたあと、頭皮をさわる
指の腹を頭皮に当てて、前後に少しだけ動かしてみてください。すっと動く日と、皮ごと張りついたように動かない日があります。毎日さわっていると、その差がわかる。わかるようになると、つっぱっている日に力まかせで洗おうとする手が、自然に止まります。
※東洋医学の考え方にもとづく一般的な養生のご紹介です。医療的な診断・治療や、効果を保証するものではありません。頭皮の赤み、痛み、皮むけ、強いかゆみが続く場合、また急に強くなった場合は、皮膚科にご相談ください。
自分の頭皮は、自分では見えない
ここまで書いておいてなんですが、自分で確かめられることには限界があります。鏡には映らない。さわっても、比べる相手は昨日の自分しかいない。
香の雫では、施術の前に頭皮の様子を一緒に見ています。分け目の地肌の色、さわったときの動き方、こわばっている場所。その日の体調やお好みをうかがって、四種の漢方アロマから香りをお選びします。さらっとした質感の漢方アロマオイルを頭皮になじませながら、ゆっくり手を動かしていきます。シャンプー台は使わず髪も洗いませんので、そのままお出かけいただけます。
夏のあいだ、いちばん日を浴びていたのに、いちばん見られていなかった場所です。季節が変わるこの時期に、一度だけ様子を見ておく。それくらいで十分だと思っています。