「肩をもんでもらっても、頭の重さは残るんです」。九月に入ると、カウンセリングでこの言葉が増えます。肩そのものは、もめば軽くなる。なのに頭の重さだけが、数時間で戻ってくる。
帯広の九月は、朝と夜のほうが先に秋になります。日中はまだ半袖でいられる日があるのに、朝、車のフロントガラスにさわると冷たい。上着を出すか出さないか迷っているうちに、肩が上がったまま一日が終わる。そういう季節です。
寒いと、人は勝手に縮こまる
冷たい空気にあたると、体は自然に縮こまります。肩が上がり、首が短くなって、あごが少し引ける。意識してやっていることではないので、本人はまず気づきません。
そのままの姿勢で、机に向かい、車を運転し、洗い物をする。夕方になるころには、肩から後頭部までが一枚の板のようになっている。冷えはじめの時期に多いのは、この固まり方です。
ここで見落とされやすいのが、首と頭のちょうど境目——後頭部の際です。肩をもむと肩はゆるみますが、この際まではなかなか届きません。「肩は軽くなったのに、頭は重いまま」という感覚は、おそらくここから来ています。
- 朝、上着を出すか迷う日が続いている
- 気がつくと肩が上がっている/耳と肩が近い
- もんでもらっても、頭の重さだけ戻ってくる
- 夕方になると、目の奥まで重く感じる
東洋医学は、滞りを「瘀血(おけつ)」で見る
東洋医学では、体をめぐるものを気(き)・血(けつ)・水(すい)の三つでとらえます。このうち「血」は、全身に栄養とうるおいを運ぶものと考えられています。
その流れがとどこおりやすい傾向のことを、東洋医学では瘀血(おけつ)と呼びます。肩や首のこり、頭の重さ、顔色のくすみ、目の下のくま。冷えているところとのぼせているところが同居する、というのも、この見方でよく挙がる特徴です。
冷えること。同じ姿勢が続くこと。この二つは、瘀血に傾きやすい条件としてよく並べられます。九月の帯広は、その両方がそろってしまう。
もっとも、体質はひとつに決めきれるものではありません。カウンセリングでも「これとこれが混ざっていますね」で終わることのほうが多い。診断ではなく、いまどちらへ傾いているかを、ゆるく知っておくためのものだと思ってください。
冷えはじめの時期に、できること
一、首のうしろを、先に温める
マフラーにはまだ早い気がする。それでも、薄いストールを一枚、車に置いておく。首のうしろは、冷たい空気を最初に受ける場所です。ここを覆うだけで、肩の上がり方が変わる日があります。
二、肩を回すより、肩甲骨を寄せる
肩をぐるぐる回すと、動くのは肩の上だけになりがちです。かわりに、両ひじを軽くうしろに引いて、左右の肩甲骨を背中の真ん中へ寄せる。五秒だけ寄せて、ゆるめる。思い出したときに一回、で十分です。
三、湯船に、首までつかる
帯広はまだ、シャワーで済ませたくなる日が続きます。ただ、肩から上が固まっている日だけは、首までつかってみてください。お湯の温度よりも、どこまでつかるかのほうが効いてくることがあります。
※東洋医学の考え方にもとづく一般的な養生のご紹介です。医療的な診断・治療や、効果を保証するものではありません。頭の重さやこりが強い場合、しびれや吐き気をともなう場合、また急に強くなった場合は、医療機関にご相談ください。
自分の手は、自分の後頭部に届きにくい
後頭部の際は、自分でもさわれます。ただ、さわろうとすると腕を上げることになり、肩がまた上がる。ゆるめたい場所をゆるめるために力む、というおかしなことが起きます。
香の雫では、施術の前にその日の体調とお好みをうかがって、四種の漢方アロマから香りをお選びします。さらっとした質感の漢方アロマオイルを頭皮になじませながら、後頭部の際、首すじ、肩のつけ根まで、ゆっくり手を動かしていきます。シャンプー台は使わず髪も洗いませんので、そのままお出かけいただけます。
本格的に寒くなる前の、いまの時期。肩から上を一度あずけてしまう。それくらいのことだと思っています。