「十月に入ってから、唇がすぐ切れるんです」。「夜、のどが渇いて、一度は目が覚めます」。この時期のカウンセリングで、ときどき出てくる言葉です。暑くもないし、汗をかいたわけでもない。それなのに、体のほうだけが乾いている。
帯広は、秋から冬にかけて空気がぐんと乾いていきます。暖房を入れる前から、体のほうが先にその変化を受け取っている。そう考えると、思い当たる方もいらっしゃるかもしれません。
九月から十一月で、空気はこれだけ変わる
気象庁の平年値(一九九一〜二〇二〇年)を見ると、帯広の相対湿度は九月が八十パーセント、十月が七十四パーセント、十一月が六十八パーセントです。夏の終わりのしっとりした空気が、二か月でずいぶん軽くなります。
そこへ暖房が入ります。部屋のなかは暖かいのに、空気は乾いたまま。外は冷たく、中は乾く。体は一日のなかで、その両方を行き来しています。
- 唇や口のまわりが、かさつく
- のどが乾いて、夜中に目が覚める
- 髪や頭皮が、つっぱる感じがする
- 肌が粉をふいたようになる
東洋医学は、乾きを「津(しん)」で見る
東洋医学では、体をうるおしている水分を津液(しんえき)と呼びます。汗や涙、口のなかのうるおいも、このはたらきのうちです。この津液が不足しがちな傾向を、津虚(しんきょ)と呼びます。
八月の終わりに書いた頭皮の日焼けの話は、夏に汗をかいて出ていったうるおいの話でした。今回は少し違います。出ていったのではなく、空気のほうが乾いて、うるおいを保ちにくくなる。秋から冬にかけての津虚は、そちらの色合いが濃くなります。
ひとつ当てはまったから津虚、という話ではありません。いくつ重なっているかを見ます。医学的な診断ではなく、いまの自分がどちらへ傾いているかを、ゆるく知っておくための見方です。
今日からできる、三つのこと
一、飲みものは、温かいものを少しずつ
一度にたくさん飲むより、湯のみ一杯を何回かに分けて。白湯でも、麦茶でも、汁物でも。冷たいものを一気に流し込むより、のどをうるおしながら飲むくらいがちょうどいい。
二、寝る部屋に、濡れタオルを一枚
暖房の効いた寝室は、思っている以上に乾きます。洗ったタオルを軽く絞って、椅子の背に掛けておく。加湿器がなくてもできる、手軽な方法です。
三、暖房の風が当たる席を、ひとつずらす
食卓でも、デスクでも、温風が顔や頭に直接当たる場所があります。席をひとつずらす、向きを変える。頭皮が直接風を受け続けるのを、少し避けられます。
※東洋医学の考え方にもとづく一般的な養生のご紹介です。医療的な診断・治療や、効果を保証するものではありません。水を飲んでも収まらない強いのどの渇き、急な体重の変化、皮膚の赤みやかゆみが続く場合は、医療機関にご相談ください。
自分の乾きは、自分では測りにくい
唇のかさつきは鏡でわかります。けれど頭皮や、首のうしろの張り具合は、見ることができません。さわっても、比べる相手は昨日の自分だけです。
香の雫では、施術の前に、頭皮の色やさわったときの動き方を一緒に見ています。その日の体調とお好みをうかがって、四種の漢方アロマから香りをお選びします。さらっとした質感の漢方アロマオイルを頭皮になじませながら、ゆっくり手を動かしていきます。シャンプー台は使わず髪も洗いませんので、施術のあとはそのままお出かけいただけます。
暖房を入れる前の、いまのうちに。一度だけ、自分の乾き具合を見ておく。そのくらいの気持ちで、ちょうどいいと思っています。